スティーヴ・マックィーンとダスティン・ホフマン
2大スターの競演で送る、絆と決断の物語

『パピヨン』は、自由を求めて執念の脱獄に賭けた男の凄絶な体験を綴ったアンリ・シャリエールの自伝的小説を、豪華製作陣が映像化した伝説的なバディ冒険物語だ。 世界的アクションスターのマックィーンはパピヨン役で新たなタフガイ像を描き、繊細な人間像で注目されていたホフマンは、本作のドガ役で困難な状況でも変わらぬ男同士の強い友情を演じ切った。製作陣もオスカー受賞の一流スタッフが集結。監督は『猿の惑星』の巨匠フランクリン・J・シャフナー、脚本は『ジョニーは戦場に行った』のダルトン・トランボと『キングコング』のロレンツォ・センプル・ジュニアが共同で担当。撮影は『タワーリング・インフェルノ』のフレッド・コーネカンプ、音楽は『エイリアン』のジェリー・ゴールドスミス。製作費40億円(当時)をかけた超大作『パピヨン』は、全米興行ランキング4位、全世界でも6位を獲得(1973年)。日本でも大ヒットし、洋画興行ランキング3位を獲得(1974年)。圧倒的なスケールで、今も世界中で語り継がれる名作となった。

監獄島からの死を賭した脱出
だが、おまえとなら、きっと――

胸に蝶の刺青を持つ金庫破りパピヨンは、無実の罪で、南米フランス領ギアナの監獄に送られる。移送中の船の中で、パピヨンは天才偽造職人ルイ・ドガと知り合った。ドガは金を狙ったほかの囚人たちに襲われるが、パピヨンが救う。そこから絆を深めていく2人。
囚人たちは、劣悪な環境と苛酷な労働で、バタバタと命を落としていく。当初、脱獄意思の無かったドガも、生命の危機を前に気持ちが揺らぐ。
パピヨンは、ついに脱獄を決意する。だが――。

映画史に刻まれる作品の数々
ハリウッドを代表する名優ふたりの出演作

『荒野の七人』『ブリット』などでアクションスターとなったマックィーンは、逃走する主人公を演じ続けた俳優だった。ナチスの収容所から脱走する『大脱走』、ルイジアナ刑務所から脱獄する『ネバダ・スミス』、銀行強盗ののちにヨーロッパに逃げる『華麗なる賭け』とメキシコに逃走する『ゲッタウェイ』など、マックィーンの演じるタフガイは、不屈の闘志で自由を求める男たちであった。
一方、ホフマンは、弱い人間の内側を演じることで世界的な評価を得てきた。『真夜中のカーボーイ』の肺病持ちのホームレス、『小さな巨人』のインディアンと白人の間を行き来する男、『卒業』では、恋人と彼女の母親との間で揺れ動く若者を演じ、スターへの階段を駆け上ったのである。
対照的ながら、どちらも厳しい現実を生き抜いていくふたり。その見事な競演が『パピヨン』である。

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